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ヴェルディ作曲 歌劇《椿姫》考 — Classical Notes

ヴェルディ作曲 歌劇《椿姫》考

彼はピストルを握り、書斎へ入ってドアを閉めた。数分後、書斎の中から大きな音がしたので心配した友人達が中へ入ってみると、そこにはピストルを片手に立ち尽くしたデュマの姿があった。彼はこういったという。「驚くべきことが、起こった。私としたことが、撃ち損じた」と。

そうした逸話が残る豪傑の作家だったようです。27歳の時からベストセラーを連発して富も有りました。子供の数も多かったようです。人数ははっきりしません。話はちょっとそれますが、フランスでは混血したほうが血が強くなる、という考えがあります。日本の徳川家の嫡流重視とは逆ですね。
そう言う考えがあってのこととはいえませんが、『椿姫』を書いたアレクサンドル・デュマ・フィスは私生児でした。金に糸目をつけない、できうる最高の教育を受けます。20歳の時に高級娼婦マリー・デュプレシと出会い、恋に落ちた。マリーは間もなく病死するが、この時の思い出を『椿姫』として出版。パリ演劇界で注目となり、経済、文学両面で大成功していきます。後にロシア貴族の娘と結婚。孫はフェンシングでオリンピック・フランス代表として活躍します。
Costume Cassanova, Costume La Traviata Erte Theatrical

『椿姫』と《椿姫 La Traviata》

デュマの代表作と成る『椿姫』が実体験を元にしたように、ヴェルディ自身も自らの境遇との暗合を強く意識します。ジュゼッピーナとヴェルディはまだ、籍を入れないままの同棲状態であったこと、ジュゼッピーナには父親違いの3児があった。ヴェルディの先妻マルゲリータは長男を産んだ後、体調が優れず1840年に亡くなっていた。長女ヴィルジーニアと長男イチリオも1歳余りで命を終えている。
しかし、先妻マルゲリータの父親はヴェルディの支援者でもあったのを気遣い、後ろめたさはあったと思われます。ジュゼッピーナとの関係は、その一年前(1839年)から続いていた。

ヴェルディは子供ころ、旅回りの楽団や村の教会のパイプオルガンで音楽に興味を持ちます。8歳の時に両親から中古のスピネットを買ってもらいます。スピネットは鍵盤楽器で、作曲家が旅行の時に携行する鍵盤だけのピアノです。その演奏法を教会のオルガニストに学びます。そレがやがて教会のパイプオルガンを任されるまでになり、音楽好きの商人の知るところとなります。商人の名前はアントーニオ・バレッツィ。最初の妻と成る、マルゲリータの父親です。人の縁というのは面白いですね。

この後に義父となる商人はヴェルディの音楽の才能に感心して、音楽学校へ通う支援をします。その頃からバレッティ家に出入りするようになり、17歳の時にはバレッティ家に住むようになりマルゲリータと親密な間柄になっていったのでした。結婚したのは22歳の時。

子供は幼い時に亡くなっているし、娘が病死して13年経過しています。それでも支援を続けたバレッティは、とてもヴェルディの音楽が好きだったのでしょう。女遊びはひっきりなしのイメージが強いヴェルディですが、気持ちの良い好人物だったことでしょう。後の話になりますが、オペラはすべてが大ヒット大富豪となった作曲家の一人です。亡くなる前に残す財産で『音楽家のための(いこ)いの家」を建設。働けなくなった音楽家が余生を送るための施設として、115年経て現在も存続しています。

ヴェルディのオペラに登場する父親は、どれも尊敬される存在として輝いています。もちろん歌劇《椿姫》でも第二幕の重要な要素として登場します。
この《椿姫》のタイトルですが。原作となったデュマ・フィスがつけた意味は『椿の花の貴婦人』。ヒロインの名前はマルグリットでした、のをヴェルディはヴィオレッタと変えます。『すみれ』の意味ですね。日本では『椿姫』となっているのがややこしさなのですが、椿の花が良く似合うスミレさんと考えれば良いでしょう。

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